喜の向くままスマホゲームブログ

当ブログは東アジアのスマホゲームについて「喜の向くまま」に書いていくものです。中国関連の話題が多めになると思います。

2020年、私が注目したスマホゲームはどうなったのか

早いもので、2020年という激動の1年も間もなく終わろうとしている。この特異な年においても数多くのスマホゲームがリリースされ、不謹慎かもしれないがこのような状況下において自宅でも楽しめるエンタメの1つとしてゲームは例年以上に関心を集めた。そんな中で今年のスマホゲームについて簡単に振り返りを行いたいのだが、ちょうど今年早々に私が以下のような記事を書いていた。果たして私が期待作として挙げたタイトルたちはどう評価されたのか、リリース済みのものから見ていくとしよう。

①原神

もはや説明不要の感もあるが、Google Play ベストゲーム 2020とApp Store Best of 2020 ベストiPhoneゲームに選出され、さらにThe Game Award 2020 ベストモバイルゲーム賞およびベストRPGゲーム賞にノミネートされた今年を代表するタイトルである。私も最注目作として位置付けていたがその期待通りの結果となった。

余談だが昨年も当ブログで紹介した『Sky 星を紡ぐ子どもたち』がApp Store Best of 2019 ベストiPhoneゲームに選出されている。当ブログで扱うタイトルは数としてはかなり少ないほうだと思うが、その中から2年連続でこういった賞に選出されるタイトルをしっかり紹介できているのは個人的にも自信になる。

さて本作に話を戻すと、一言でいえば規格外という言葉に尽きる。スマホ・PC・PS4同発で世界同時リリースもそうだし、従来のスマホゲームとは一線を画すプレイフィール、クオリティ、スケール感。正直来年原神クラスのタイトルが出てくるかと聞かれたら、絶対出てこないとは言えないが1つ出るかどうかくらいだと思うし、出てこなくても全く驚きはない。中国では原神に続けと言わんばかりにオープンワールド系のタイトルが続々と用意されているようだが、本作に迫れるかとなると疑問符をつけざるを得ない。miHoYoの開発力の賜物だと思うが、それくらい異質なタイトルが今までのスマホゲームの文脈とは全く違うところから現れたということである。

今年最注目の本作は来年も要注目であることに変わりない。どこまで世界が拡張しどんな体験を提示してくれるのか1プレイヤーとして楽しみである。

 

OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

スマホゲーム市場に向けて旅立った本作、その船出は順調と言っていいだろう。コマンドバトルの楽しさ、音楽の心地よさ、シナリオの重厚感…。あらゆる部分にJPRGの面白さが詰まっている。今後のロードマップもある程度先まで公開されているし、シングルプレイRPGとしてじっくり遊ぶことができるだろう。

来年本作に期待することとしては海外展開だろうか。国産のスマホゲームが海外でも同じ熱量で支持されるケースはあまり多くないが無印で海外実績のある本作なら…という期待だ。国内市場はここ数年海外勢に押され気味だが、日本から打って出るコンテンツとして飛躍してほしい。

 

ラクガキ キングダム

年内のリリースは間に合わなかったものの、年明け早々の1月下旬リリースが決定ということで年度内には間に合うようだ。遅延の理由としてはCβTで明確になった問題点を改修していたということで満を持しての登場となるだろう。

本作の特徴は何といってもプレイヤーが描いた絵が3Dキャラとなって動くという唯一無二の仕様である。どこまで正確にキャラが描けるのかは分からないが、自分でキャラが生み出せるということは分かりやすく言うなら炭治郎を描き起こしてしまうのもアリだと思うし、パーティーメンバーにルフィや孫悟空がいてもいいということである。他のゲームでも多くのIPとコラボした結果ドリームチームが出来上がることはあるが、それはゲーム側がコラボする必要がある。本作の場合はそれをプレイヤーたちが自らの力で実現できてしまうかもしれないところに価値があると思うのだ。今がSNS全盛であることも踏まえればそこを起点にコンテンツに火が付く可能性もあり、個人的にはダークホース的な立ち位置にある作品だと認識している。リリースを待ってどこまで自由にラクガキができるのか確認してみたい。

 

ウマ娘 プリティーダービー

こちらも年内には間に合わなかったが、先日来年2月24日にリリース予定とアナウンスされた。事前登録開始からかなりの年月が経ったが、待ちに待ったとはまさに本作のためにある言葉ではないかと感じてしまう。ちょうどTVアニメ第2期の放映期間中ということもあり十分に熱を帯びた状態から待望の出走となる。おそらく2021年最初のメガヒット作は本作になるだろう。

最近国産のスマホゲームは既存IPを活用したタイトルのヒットが多く、新規IPは立ち上げに苦戦している。そのためオリジナルの新作ヒットは原神をはじめ海外産が席巻している傾向が続いている。そんな中でこのウマ娘が走り出すことで新しい風を吹かせてくれるだろうと信じている。

 

2021年もコロナウイルスの影響は多分に残っているから明るい幕開けは難しいだろうが、面白いを提供するスマホゲームは必ず現れる。来年の注目作については私も十分に追えてないが、このような状況だからこそ1本でも多くそう言ったタイトルに出会いたいものだ。

【βレビュー】『マナシスリフレイン(玛娜希斯回响)』~キャラガチャなし!少女たちと穏やかな時を過ごすお散歩RPG~

11月12日。遂にPS5が発売され、一方で某稲作ゲームが脚光を浴びるなどゲーム愛好者たちが盛り上がりを見せていたこの日、私はあるスマホゲームのβテストに参加していた。そのゲームこそ『マナシスリフレイン(玛娜希斯回响)』、『A PROJECT』という仮称段階から個人的に注目していた作品である。これまでのβテストは手元の環境が合わなかったりで縁がなかったのだが、今回ようやくコンテンツを確認できる機会を得られたので現段階での感想を記しておく。

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本作は過去に日本展開が決定したという発表があり、公式サイトや公式Twitterも稼働していたのだが現在は何らかの理由によってそれらが消失してしまっている(26日現在)。この部分は心配も残るところだが、今回のβテストでは3分の1くらいは日本語ローカライズが進んでいる形跡が確認できたのでまずは一安心。やはり今後日本でのサービス展開は十分に視野に入っていると考えていいだろう。

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本作についてざっくり説明すると、プレイヤーはセオドリック学院の新入生として少女たちと共に各地を冒険するRPGである。ストーリーについては本作にとって特に楽しみな部分になるだろうからネタバレ防止的な意味もかねて今回はあまり言及しないこととするが、過去に本作を紹介した際の内容の中で1つ私が思い違いをしていたところがあったのでそこは訂正しておく。

私はこれまで本作の舞台は「魔王亡き後の穏やかな世界」だと思っていた。それは制作陣からの「世界を救うために冒険する的な内容はやめたい」という旨のコメントを受けての解釈だったが、ゲーム内に確かに魔王は登場したのだ。登場したのだが、プレイヤーが魔王と対峙することはなく、冒険自体は確かに期待していたような穏やかなものだった。なぜそうなったのかについてはゲーム本編や公式からの情報を楽しみにしておいてほしい。

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ちょっとだけ登場した魔王さんの貴重なお姿

プレイヤーは拠点となる箱庭島と冒険の舞台となる各フィールドをファストトラベルで行き来し戦闘や採集によってアイテムや素材を獲得、それらを利用して装備やお役立ちアイテムを作り出し、再び冒険へ向かうというのが基本的なサイクルとなる。
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箱庭島には様々な施設があり、武器やアイテム・料理など冒険に必要なものが制作できるほか、NPCにプレゼントを贈って交流することも可能だ。

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冒険パートでは最大3人のキャラでパーティを組んで各フィールドを自由に探索したりモンスターをを倒したりしてアイテムを収集する。

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フィールドには釣りスポットやテントを設営して一休みできる場所もあるので、釣った魚をその場で料理しておいしくいただくこともできるが、材料はちゃんと選ばないと怪しげな色合いの料理が出来上がるので注意しよう。

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バトルはフィールド上の敵に接近するとそのままシームレスに開戦となる。パーティの3人のうち1人を操作し残る2人は自動で戦ってくれるが、操作するキャラを切り替えることもできる。奥義やスキル、キャラ同士の連携技もあるアクション型のバトルとなっている。

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そして表題の通り、本作はキャラガチャを採用していない。開発側の「全てのキャラのストーリーを体験してほしい」という意向でゲーム進行に応じて加入していくようだ。ただガチャの仕組み自体は残っていて、記憶結晶というキャラに装着して強化するものを獲得するためにガチャを利用することになる。

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また各キャラにはスキンが用意されており、服はもちろん装備や細部のアクセサリーまでこだわることができる。

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なお、各地を冒険した際のエピソードは全て記録され、いつでも振り返ることが可能だ。

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以上が今回のβテストで確認できた本作の内容である。開発陣が目指しているシリアスではない世界観を基調とし、少女たちと穏やかに過ごすというのは確かに実現できている。いい感じにゆるいストーリーもそうだし、各キャラの掘り下げも期待できると感じた。

だが冒険部分には不満が残ってしまった。フィールドはしっかり作りこまれていて美しさも感じる一方、冒険をするのに十分な広さとは思えず、また採取ポイントも指定されているしギミックも大して見当たらず探索のし甲斐がない。現状ではどうしても物足りなさを覚えてしまうのだ。広大なフィールドを冒険するというよりは、近所の公園にお散歩に行く…といった表現のほうがこのプレイ感は近い気がする。個人としてはもう少しフィールドで実現できることに幅があってほしいし、そうでないとおつかいに行って帰ってを繰り返す単調なものになってしまわないかというのが懸念点だ。

 

とはいえまだまだβテストの段階。本サービス開始時にはボリュームも増えているかもしれない。例えば箱庭島ではMMOのように他のプレイヤーも同居する形だし、マルチプレイ的な遊び方もありうるだろう。

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βテスト終了後には別途ARアプリがリリースされるなど、開発陣の本作に対する熱意も感じられる。次は正式リリース関連の続報を待つことになるだろうが、どんな形に仕上がっていくのかを期待したいところだ。

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ARアプリで我が家にセラフィーナをお迎えできた

 

【レビュー】『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』~『アナザーエデン』と双璧をなすシングルプレイスマホRPG~

2018年に発売され、世界累計出荷数とDL販売本数の合計は既に200万本を突破している正統派の王道RPGOCTOPATH TRAVELER』(以下:無印)。その数年前の世界を舞台にした新作『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』(以下:本作)がスマホゲームとして登場した。

ジャンルはシングルプレイRPGスマホにおけるこのジャンルのパイオニアが『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下:アナデン)である。私がアナデンをリリース当初からプレイしており、かつ無印もプレイ済みなのでここではそういった視点からもレビューを記したい。なお、レビュー記載時点では後述する富・権力・名声のストーリーをいずれも第2章までクリアしている。

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まずゲームを起動して最初に気になったのはトップ画面に入る前の注意書き。そこには「本作はシングルプレイRPGです。コンテンツは定期的に追加されますが、ご自分のペースでお楽しみください。」とある。

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一定期間ごとに区切ってイベントを開催するのではなく、アナデン同様に1度追加されたコンテンツはその後いつでも遊べるという形式を採用するのだろう。これにより、スマホゲームにありがちな「あの時はまだプレイしてなかったから特定のキャラが入手できない、過去のイベントが体験できない」といった問題が解消でき、どのタイミングで始めても漏れなくゲームの世界を堪能できる。またシングルプレイなので他のプレイヤーと何か競争があるわけもなく、ある種の義務感のようなものを感じながらゲームを遊ぶ必要もない。本作がそういう性質のゲームであることを冒頭で明示しているのが個人的にとても好印象だった。

 

 プロローグをなぞり、バトルなどチュートリアルを完了するとプレイヤーは富・権力・名声にまつわる3つのストーリーから1つを選択し開始することになる。ただ、選ばなかった2つもすぐに並行して進めることができるのであまり悩まずに気になったものを選んでしまっていいだろう。

さて、いよいよ旅立ちとなるが仲間が少ないのは心許ない。となると導き(ガチャ)で仲間を獲得…となるのだが、やはり無印をプレイしている身としてはガチャで仲間が増えるというのはどうしても違和感がある。1つの新規スマホゲームと考えればそうでもないのだが、OCTOPATH TRAVELERのシリーズでとなると…まぁこればかりは仕方ないだろう。

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そしてもう1つ違和感を生じさせるのが

「旅人が9人以上いるー!!」

という点だ。果たしてオクトパスとは…とはいえ、無印とは違い長く運営していく計画の中でキャラが8人しかいないというのは流石に難しいだろうからまぁこれも仕方ない…か?ただそんな本作では8人というのが違う形で表現されている。

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1パーティの編成人数が最大8人なのだ。前衛の4人が戦い後衛の4人は待機して毎ターンHPとSPを回復する。なお前衛後衛は2人1組のようになっていて、戦闘中は交代のコマンドで適宜該当のキャラ同士を入れ替えることができる。後衛から前衛に上がってきたキャラはそのターンからコマンドを実行でき、戦略を考える上でも重要な要素となる。

ちなみに上のスクショをご覧いただいて気付くかもしれないが、左下には累計のプレイ時間が表示される。スマホゲームらしからぬ演出だが、家庭用ゲームのRPGのような感覚を味わうことができる。

 

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バトルでは無印に存在していた戦闘中の回復系アイテム使用や防御といった一部のコマンドは本作では見当たらないが、基本的には無印を踏襲している。本作でも変わらず、バトルの肝はBPの管理とブレイクだ。無印プレイヤーにはおなじみだが、ターン開始時に貯まるBPを消費することで攻撃回数を増やしたり効果を上げることができる。また敵にはそれぞれ弱点があり、該当の武器種や属性で攻撃するとシールドポイントを1つ減らすことができる。シールドポイントが0になると…

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ブレイク状態に。ブレイクしたターンとその次のターン中、敵の防御力は低下し行動不能になるので一気に勝負をつけるチャンスだ。ただし章ごとのボスクラスになるとブレイクまでに必要な攻撃回数も多くなったり、1回のブレイクでは仕留めきれなくなるのでブレイク時に畳みかけるためにBPを使うのか、ブレイクさせるためにBPを使うのかの判断を前衛後衛のやりくりと合わせてすることになる。コマンド式RPGというオーソドックスな形式ではあるものの、これらの仕様が相まってスマホRPGの中でも戦略性は高く、ちゃんとバトルが面白い作品に仕上がっている。

 

そしてOCTOPATH TRAVELERらしさといえば、やはりフィールドコマンドである。無印ではNPCの持ち物を盗んだり彼らを助っ人として雇うことができ、序盤から強力な装備を使ったりここぞの局面で手練れの傭兵を起用したりして戦うことができた。王道RPGの中で異彩を放つ奇抜なシステムとしてプレイヤーに選択の幅を与えたものだった。

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本作においてもコマンドの種類こそ多少変わっているものの、無印とほぼ同じような形で活用できる。ただし、本作では装備にレベルの概念があり、指定のレベルまでキャラを強化しないと装備できないといった制限もあったりするので無印と同等の自由さがあるわけではない。

 

ある程度の時間プレイし続けてもスマホゲームっぽさはあまりなく、むしろ家庭用ゲームのプレイフィールに近いとさえ感じる。数少ないスマホゲームっぽい部分といえば「功績」だろうか。デイリーやウィークリーの任務があり、達成すると報酬が得られるシンプルなものだ。

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気になるストーリーについてはネタバレ防止の意味も込めてあまり触れないことにするが、ここまでの印象としてはまさしく重厚という感じでじっくり腰を据えて楽しみたいと思わせる内容で、本格派のストーリーを求めている人にも勧められるクオリティに仕上がっている。1つ気になるとすれば旅の動機だろうか。無印では8人がそれぞれ異なる目的から旅に出てその過程を追っていくため、各キャラの視点から冒険の意義をはっきりと掴むことができたが、本作では数多くのプレイアブルキャラの1人が選ばれしものになったからという理由のため、動機づけがやや薄く感じられた。主人公がプレイヤーの分身という感じがあまりしないのが私にとってはやや没入感が失われる要因になっているのだろう。ただメインストーリーとは別にキャラごとのストーリーもあるのでそちらでの深掘りも期待できる。

そしてサウンド。無印の時から非常にいいと感じていたが、本作でも同じBGMも採用されている。個人的には戦闘時のBGMがとても気に入っていて、「王道RPGのBGMたるや、かくあるべし」というのが体現されているように感じる。

さらにもう1つ是非見てほしい箇所がある。本作の公式サイト内に取扱説明書という項目があるのだが、これが実にいい。なぜなら、往年の家庭用ゲームにおける紙の説明書の懐かしさを連想させるからだ。プレイフィールを踏まえても、これまで多くのゲームを遊んできたけれど、実はスマホゲームはあまりプレイしたことがないという方のスマホゲームデビュー作としても適していると思う。

 

さて、冒頭で述べた通りこのF2P型シングルプレイRPGスマホゲームにおけるパイオニアはアナデンなのだが、おそらく本作とアナデンの間には特殊な関係があると思っている。

アナデン初代プロデューサーの高大輔氏は無印の発売前にTwitterで期待を寄せるコメントをしていたし、実際そのあとスクエニに活躍の場を移している。その後、アナデンの夢見(ガチャ)不具合が発覚して以降高氏は雲隠れのようになっているが、さらにそこからしばらくして本作がシングルプレイRPGとして発表された流れを見るに、アナデンで培った経験を踏まえてスクエニで本作に参与していた可能性は高いのではないかと考えられる。

そして実際、アナデンから影響を受けたのだろうと思える個所も存在している。例えば有償通貨購入時の感謝メッセージはまさにそれで、他にもUIや一部仕様などアナデンの良い部分は積極的に吸収している感すらある。

個人的には本作の登場により、今から3年半も前にシングルプレイRPGとして生み出されたアナデンは当時を振り返ると相当に革新的な存在だったのだということを再認識するきっかけにもなった。

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上が本作、下がアナデンの課金時感謝メッセージ。このタイミングではどちらも猫のイラスト

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両者のアイテム画面。まさに瓜二つである

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キャラの成長をツリー状の仕様にしているのも共通点だ

まだシングルプレイRPGというのは数として決して多くはない中で、1つ新たに大きな期待が持てる作品が登場したことは喜ばしい。今後のコンテンツの追加速度は気になるところだが、既にロードマップも公開されているのでそちらもチェックしておきたいところだ。

本作は10月28日に配信開始となったが、翌29日からはアナデンで『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』とのコラボ第2弾が開始されており、こちらも新規プレイヤー歓迎の状態となっている。2つのシングルプレイRPGが始めどきでどちらも未プレイの方は悩ましいかもしれないが、シングルプレイRPGの特権的なものでどちらも自分のペースでコツコツ楽しめるため、この際両方とも遊んでみる!というのもいいだろう。

 

※本レビューで用いた『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』の画像に関するコピーライトは以下の通りである。

© 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 

『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』公式サイト

 

『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』App Store

 

『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』Google Play

原神だけじゃない!?個人的に期待している「移動が楽しくなりそう」なスマホゲーム4選

前回の投稿に続き、今回は表題の通り今後リリースを控える中で移動が楽しく感じられそうなスマホゲームを4つ紹介したい。4つのうち3つはオープンワールドを謳っていて、残る1つはおそらく拠点からファストトラベルでフィールドに出向く形式を採用しているのではないかと思うが、いずれもフィールドは作り込まれていて冒険や探索のし甲斐がありそうだと感じている。

 

①诺亚之心(ノアズハート)

テンセントが送り出す、次代の超大型オープンワールドMMORPG。以前別で記事を書いたこともあるのでそちらも参照してほしい。

現在公開されている映像などから受ける印象としては原神と同等以上のスケール感がある。また、従来のMMORPGは職業・クラスといったものにより役割や戦い方にある種の制約があったが、そういったものを打破して新しいMMORPGの体験を提案するという試みにも挑んでいるようだ。

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わざわざ日本語版のトレーラーを用意しているあたり、将来的な日本展開も既に視野に入っている可能性は高い。現時点でリリース時期は不明だが、おそらく来年にはかなりはっきりとしたアナウンスを期待できるだろう。

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②黎明觉醒

こちらもテンセントが放つオープンワールドサバイバルRPG。記載こそないが、おそらくMMOの形態になるのではと思う。これまで『代号:生机』という仮称だったが、ようやく正式タイトルも決まりβテストを実施するなどリリースに向けて着々と準備を進めている。

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ただサバイバルMMORPGというと日本では既にNetEaseの『ライフアフター』がかなり定着しているし、実際木を伐採するなどサバイバルの中で素材を集めてハウジングをしたり、襲ってくるゾンビと戦ったりするといった遊び方は提示されているが、そこにオープンワールドという要素が加わってどれくらいライフアフターと差別化できるのかというのが気になるところだ。もしシームレスなフィールドでPKや探索が同時進行でできるのであれば、移動という要素がもたらす2種類の楽しみが同時に味わえるわけであり、これまでとは一味違った体験ができるのではという期待は抱けるだろう。

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③幻塔

こちらはHotta Studioが開発するオープンワールドゲーム。イラストの感じや遊び方も踏まえると、今回紹介する4タイトルの中では最も原神に近い存在だと認識しているが、原神よりも近代的な世界観の中で冒険を繰り広げることになりそうだ。あくまで個人的な印象だが、どこか『ゼノブレイド』シリーズを彷彿とさせるところがあるようにも思える。

まもなくβテストが開始されるということで、私も申し込んでおいたので運が良ければ当ブログでファーストインプレッションを紹介できるかもしれない。

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離れた足場も空中2段ジャンプで移動できる

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空中から敵に接近して攻撃できるなど、多彩なアクションを楽しめそうだ

④マナシスリフレイン(玛娜希斯回响)

こちらは犬酱组(INUTAN)が開発中の異世界冒険RPG。『A PROJECT』という仮称で存在が公表されていた頃に当ブログでも記事を書いたが、正式タイトルも決まり、さらには日本での配信も決まっているということでチェックしておきたいタイトルだ。

※この原稿を書き終わった後、日本版の公式サイトと公式Twitterが削除されていることに気付いた。もしかしたら日本展開はいったん白紙になったという可能性もあるが、ひとまずTapTapなどで公になっている情報をもとに紹介したい

中国では今夏に「夏期体験入学」と称してβテストが行われていたが、私の環境では参加することができず… 未だその内容を直接確認できたことはないのだが、制作者サイドのコメントを読むに、いくつか気になることもある。

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街の中ではキャラクターはデフォルメされた姿になるようだ

まず、これは前回紹介した時にも記載したことだが、本作ではプレイヤーには世界を救うといったような大仰な使命はなく、平和な世界を女の子たちと穏やかに冒険するスローライフを体験してほしいという思惑があるようだ。そういった理念に基づいて開発されているとすると、例えば他のプレイヤーとの競争のようなコンテンツはなく、プレイヤー各位のペースでじっくり遊べるような設計になっているのかもしれない。また構想としてガチャでキャラを獲得するという仕様から脱却したいという思いもあるようだ。俗にキャラゲーと称されるゲームではキャラ固有のストーリーが用意されていることは珍しくないが、そのストーリーを読むためにはキャラ自体を入手する必要があり、その入手方法が低確率のガチャに限られる、といったこともままある。そこから抜け出して、プレイヤーにはより確実な手段でキャラストーリーを楽しんでほしいということなのだろう。

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以上の4タイトルはおそらくいずれも来年以降のリリースになるだろう。テンセントが開発中の2タイトルはどちらもUnreal Engine4で制作されており、グラフィックの精彩さが際立っている印象だ。『幻塔』と『マナシスリフレイン』は原神と同じく「キャラ(ストーリー)×冒険」という構図になると思われ、幻塔はオープンワールド上のシリアスな世界観の中で冒険を、マナシスリフレインは穏やかな世界観の中で割とのんびりとした冒険を楽しめるのではないか。

原神が注目を集めている今だからこそ、移動が楽しいと思える次のゲームの登場を期待したい。

以下に今回紹介したタイトルのTapTapでの紹介ページをリンクしておいた。中国語なので分からない部分も多いだろうが、動画等でゲームの雰囲気を掴むことくらいは可能なはずだ。気になったタイトルがあればぜひ見てみてほしい。

 

F2Pスマホゲームにもようやく「移動が楽しい」時代がやってきた

『原神』がリリースされ、「スマホでも遂にこのクオリティのゲームが遊べるようになったのか!」と喜んでいる人も多いのではないだろうか。今、原神をプレイして気持ちいいと感じている人はおそらくそのポジティブな感情をある部分に見出しているのではないかと思っている。それが「移動することの楽しさ」だ。だが、これをスマホゲーム(ここでは特に基本無料・アイテム課金方式を採用しているタイトルを指す)のプレイヤーが享受できるようになったのは割と最近のことのように思うのだ。

私自身、ゲームに初めて触れてからもう25年ほど経つが、振り返って面白かったなぁと思うゲーム、特にRPGやアクションにおいてはだいたい「移動」と「バトル」が楽しかった。どちらかが欠けていてはダメで、両方が面白いものほど記憶に強く残っているように感じる。

このうち「バトルの楽しさ」というのは例えば戦略性が高いとか、爽快感が強いとか、あるいはスマホにおいてはオートで快適(お手軽)であるなど、どのタイトルもその程度はともかくとして大体何らかの楽しさというか特徴は有しているように思う。

だがもう一方の「移動の楽しさ」はどうだろうか。Mobage/GREE時代から続くモバイルゲームにおいてはホーム画面が採用され、そこからバトルに向かい、終わったらまたホーム画面に戻ってくるという形式がこれまで、というか現在でも主流である。つまりモバイルにおいて重要であると言われてきた手軽さを得るために、移動という要素は煩わしいものとしてバッサリカットされてしまっているタイトルがこれまでは圧倒的に多かった。カットされているのだから、移動の楽しみなどモバイルにおいてはこれまでほとんどのタイトルで「あるはずもないもの」だったはずだ。

これまでスマホゲームで移動が最も身近だったジャンルの1つがMMORPGだと思うのだが、スマホMMORPGの中にはクエストをタップすると目的地まで自動で向かっていくという機能を採用しているものも珍しくない。プレイヤーが自ら操作して移動させることができるのにオート移動を採用しているのは、プレイヤーが移動させることにあまりメリットがないことを開発側も認識しているからではないか。決められた道を進むだけで寄り道をしても特に何もないのなら、その移動は「作業」になり面白さを提供する要素とはなりえないだろう。

転換点となったのがスマホにも流れ込んできたバトルロイヤルではないか。最後まで生き残るという目的を果たすためには「交戦に備えて移動して装備を整えること」や、逆に「交戦を避けるために人気のない所に身を潜めること」は不可欠と言っていい。つまりこれまでモバイルで「煩わしいもの」だった移動という要素がたちまち「しなければいけないこと」にまで、180度どころか540度くらい変わった瞬間ではないだろうか。

もう1つ、NetEaseの『第五人格(Identity V)』を例に考えてみたい。プレイしたことのある方はもうお分かりだろうが、第五人格の遊びは我々の大半は子どものころに1度は遊んだことがあるであろう「けいどろ」や「鬼ごっこ」によく似ている。つまり「移動とバトルが不可分になっている」のである。

そして原神の登場である。バトルロイヤルや第五人格における移動とは「緊張感を増幅させ興奮を高めるもの」だが、原神の移動はそれらとは性質が異なり「冒険心をくすぐるもの」としてゲームに作用している。見るからに怪しげな場所があったら「何かあるに違いない!」と思わず向かいたくなるだろう。

家庭用ゲームなどでは昔から当然のようにあった移動という要素は、これまでのモバイルゲームでは決してスタンダードなものではなかった。それが今、モバイルゲームの領域にも少しずつ根付こうとしている。そしてオープンワールドは得てして自由度が高いため、この移動という要素を楽しむのに適していると思う。

このオープンワールドというジャンルは、原神だけでなく今後もスマホゲームにも次々に投入されていく。次回の投稿では個人的に注目しているオープンワールドスマホゲームや移動の楽しみがありそうなゲームをいくつか紹介したい。

原神、待望のサービス開始。~幻想世界テイワットを巡る自由な旅の幕開け~

miHoYoは本日9/28(月)、新作オープンワールドRPG『原神』のサービスを開始した。iOS/Android・PC・PS4での世界同時リリースであり、今後はSwitch版の展開も控えている。

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昨年の6月だったか、突如発表された本作は様々な反響を呼び話題となった。私も気になって昨年9月のTGSで開催された試遊会に向かってみたり、今年3月にはCBTをプレイする機会を得たので体験レビューを書いてみたりもした。

※詳しくは拙ブログの関連記事を参照

PCやPS4はともかく、スマホでもここまでのクオリティのオープンワールドゲームがプレイできるということで、おそらくこれまでに類を見ない作品になるだろう。国内外で非常に注目度が高く、今年を象徴するスマホ(でも遊べる)ゲームになる可能性も秘めている。今までのスマホゲームとは一線を画したゲームを求めている人は是非1度プレイしてみるといいだろう。

原神 App Store

原神 Google Play

 

原神、9/28(月)にサービス開始。リリースに向け各種施策展開中。

miHoYoは新作オープンワールドRPG『原神』について、9/28(月)にサービスを開始すると発表した。また、現在リリースに向けた施策をSNSなどで実施している。

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通常中国開発のゲームはまず中国現地でリリースし、その後数か月のローカライズ期間を経て日本でリリースされるケースが多く、実際同社の『崩壊3rd』も中国版リリースから日本版リリースまでは4~5か月の期間があったのだが、原神は日中同時というか、グローバルで同時リリースとなる。

 

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リリースまで残り2週間ちょっととなった現在は公式サイトやSNS上で事前登録やキャンペーンが展開されている。事前登録数は既に270万を超えており、注目度の高さが伺える。そして9/10(木)からは事前登録ガチャが開始された。中国版では8月末から開始されていて、個人的にも「日本版ではやらないのかな」と思っていたのだが、この事前登録ガチャを行うとゲーム内アイテムが入手できるのでプレイを待ち望んでいる人はぜひやっておくといいだろう。詳しい仕様などは下記の公式Twitterなどから確認してほしい。

 

参考

原神公式サイト

原神公式Twitter