喜の向くままスマホゲームブログ

当ブログは東アジアのスマホゲームについて「喜の向くまま」に書いていくものです。中国関連の話題が多めになると思います。

F2Pスマホゲームにもようやく「移動が楽しい」時代がやってきた

『原神』がリリースされ、「スマホでも遂にこのクオリティのゲームが遊べるようになったのか!」と喜んでいる人も多いのではないだろうか。今、原神をプレイして気持ちいいと感じている人はおそらくそのポジティブな感情をある部分に見出しているのではないかと思っている。それが「移動することの楽しさ」だ。だが、これをスマホゲーム(ここでは特に基本無料・アイテム課金方式を採用しているタイトルを指す)のプレイヤーが享受できるようになったのは割と最近のことのように思うのだ。

私自身、ゲームに初めて触れてからもう25年ほど経つが、振り返って面白かったなぁと思うゲーム、特にRPGやアクションにおいてはだいたい「移動」と「バトル」が楽しかった。どちらかが欠けていてはダメで、両方が面白いものほど記憶に強く残っているように感じる。

このうち「バトルの楽しさ」というのは例えば戦略性が高いとか、爽快感が強いとか、あるいはスマホにおいてはオートで快適(お手軽)であるなど、どのタイトルもその程度はともかくとして大体何らかの楽しさというか特徴は有しているように思う。

だがもう一方の「移動の楽しさ」はどうだろうか。Mobage/GREE時代から続くモバイルゲームにおいてはホーム画面が採用され、そこからバトルに向かい、終わったらまたホーム画面に戻ってくるという形式がこれまで、というか現在でも主流である。つまりモバイルにおいて重要であると言われてきた手軽さを得るために、移動という要素は煩わしいものとしてバッサリカットされてしまっているタイトルがこれまでは圧倒的に多かった。カットされているのだから、移動の楽しみなどモバイルにおいてはこれまでほとんどのタイトルで「あるはずもないもの」だったはずだ。

これまでスマホゲームで移動が最も身近だったジャンルの1つがMMORPGだと思うのだが、スマホMMORPGの中にはクエストをタップすると目的地まで自動で向かっていくという機能を採用しているものも珍しくない。プレイヤーが自ら操作して移動させることができるのにオート移動を採用しているのは、プレイヤーが移動させることにあまりメリットがないことを開発側も認識しているからではないか。決められた道を進むだけで寄り道をしても特に何もないのなら、その移動は「作業」になり面白さを提供する要素とはなりえないだろう。

転換点となったのがスマホにも流れ込んできたバトルロイヤルではないか。最後まで生き残るという目的を果たすためには「交戦に備えて移動して装備を整えること」や、逆に「交戦を避けるために人気のない所に身を潜めること」は不可欠と言っていい。つまりこれまでモバイルで「煩わしいもの」だった移動という要素がたちまち「しなければいけないこと」にまで、180度どころか540度くらい変わった瞬間ではないだろうか。

もう1つ、NetEaseの『第五人格(Identity V)』を例に考えてみたい。プレイしたことのある方はもうお分かりだろうが、第五人格の遊びは我々の大半は子どものころに1度は遊んだことがあるであろう「けいどろ」や「鬼ごっこ」によく似ている。つまり「移動とバトルが不可分になっている」のである。

そして原神の登場である。バトルロイヤルや第五人格における移動とは「緊張感を増幅させ興奮を高めるもの」だが、原神の移動はそれらとは性質が異なり「冒険心をくすぐるもの」としてゲームに作用している。見るからに怪しげな場所があったら「何かあるに違いない!」と思わず向かいたくなるだろう。

家庭用ゲームなどでは昔から当然のようにあった移動という要素は、これまでのモバイルゲームでは決してスタンダードなものではなかった。それが今、モバイルゲームの領域にも少しずつ根付こうとしている。そしてオープンワールドは得てして自由度が高いため、この移動という要素を楽しむのに適していると思う。

このオープンワールドというジャンルは、原神だけでなく今後もスマホゲームにも次々に投入されていく。次回の投稿では個人的に注目しているオープンワールドスマホゲームや移動の楽しみがありそうなゲームをいくつか紹介したい。