喜の向くままスマホゲームブログ

当ブログは東アジアのスマホゲームについて「喜の向くまま」に書いていくものです。中国関連の話題が多めになると思います。

【新作紹介2本立て】『黑潮之上(アンノウン フューチャー)』&『幻书启世录(終末のアーカーシャ)』

NetEaseと言えば現在日本では『荒野行動』や『第五人格』が人気を集めているから、eスポーツ系のタイトルが強いパブリッシャーというイメージを持たれるかもしれない。それは事実だと思うが、一方で日本上陸第1弾の『陰陽師』やあるいは『永遠の七日』で挑戦的な試みをしてみるなどキャラクターコンテンツでも実績がある。そんなNetEaseが昨年11月~12月にキャラクター系スマホゲームの新作を2本リリースしている。どちらも今後の日本展開の可能性は高いだろうから先んじて当ブログで紹介しておこう。

 

①『黑潮之上(アンノウン フューチャー)』

こちらは日本版の公式Twitterも開設済みで順調なら今年リリースはほぼ確実だろうというタイトル。『ハースストーン』や『シャドウバース』のようなカードゲームからキャラクターの概念のみを独立させ、プレイヤーのカードプレイングに応じてキャラクターが行動するというカードバトルとRPGを掛け合わせた戦闘システムが特徴だ。

ストーリーとしては「過去の重要な分岐点にさかのぼり運命を変えること」がカギになっていて、少し『永遠の七日』っぽさを感じる。というか、ゲーム内のクリエイティブを見ても随所に似てるなと思う部分があり、もしかしたら同じ開発チームが制作しているのかもしれない。そういう意味では遊び方こそガラッと変わったものの、『永遠の七日』の精神的な続編と考えてもいいだろう。

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特徴となるバトルは下の画面のようになる。プレイヤーは3体のキャラクターを選んで出陣させる。カードバトルらしくターン制で、毎ターンの最初にキャラクターごとに組んだデッキに応じてカードがランダムに6枚配られる。カードにはそれぞれ使用時に消費するエネルギーが定められており、プレイヤーは毎ターン定められたエネルギーの範囲内でカードをプレイングしバトルを進めていく。ここではターンの最初に律子というキャラクターが使用するカードが3枚配られたのでこのキャラクターを中心に戦ってみよう。

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律子がカードを2枚使用したところが下の画面。中央上に紫色のゲージが2つ貯まったことが分かるだろうか。キャラクターがカードを使用するとこのゲージが貯まるのだが、3回連続で同一のキャラクターがカードを使用すると強力な技を発動できるカードを特殊ドローすることができる。それがもう1つ下の画面だ。このカードを使用するとアニメーションのカットインが入る演出になっている。

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こうしてバトルを続けてストーリーを進めていくのが本作の基本的な遊び方となる。私も3章までプレイしたが、現段階では本作に対してはやや厳しめの評価をしている。理由として1番大きいのはカードゲームの部分だ。各キャラクターに付随させるデッキは8枚のカードからなるもので、戦闘時は3体のキャラクター×8枚のカードの計24枚で戦うことになるわけだが8枚という枚数からも分かるようにあまりバリエーションを利かせられない。その8枚の内訳として、1枚は先述の強力な技を発動するカード、3枚は各キャラクター固有のカードのため半分は入れ替えができず、自由に組めるのは4枚だけとなっている。

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また本作ではキャラクターを強化することで戦闘時のカードの効力が上がる一方で、専用の施設でカード自体を強化して出力を上げることもできるのだが、現時点ではやはりキャラを強化したほうがより戦闘が優位になるように感じられる。私はカードゲームを面白いと感じる瞬間として、入念にデッキを組んでプレイングの巧みさでうまくいった時というのがあると思っているが、本作ではそういった技術で勝つというよりキャラクターの強さで勝つという印象のほうがどうしても強く、結果として私が考えるカードゲームの面白さがゲーム内に十分に落とし込めていないと感じてしまうのだ。

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カードゲームとRPGを掛け合わせるときのバランス感の調整はおそらく相当難しかっただろうが、現状私にとっては少し残念な仕上がりになっている。カードゲームの部分をあまり重視せず、キャラクターRPGとしてみればまずまずの出来と言えるだろう。

 

 

『幻书启世录(終末のアーカーシャ)』

本作は世界各国の名著を擬人化したオーソドックスなキャラクターRPG。とある事件に巻き込まれ、「アーカーシャ館」の館主になったプレイヤーが冒険に繰り出すというのが大まかなストーリーとなる。

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開発が中国なので日本発の著作はまだ多くはないが、それでも『今昔物語集』や鳥山石燕の『画図百鬼夜行』、そして夏目漱石の『吾輩は猫である』といったところが確認できた。他にも『ファーブル昆虫記』や『海底二万里』、『神曲』など古今東西の名著たちが擬人化された姿を見ることができる。世界中を見渡せば名著と呼ばれるものはまだまだあるだろうから今後も新キャラクターとして続々追加されていくのだろう。

 

ゲームの核となるバトルはシミュレーションRPGの類型のような形式を採用している。例えば下の画面で3体の敵が横並びになっているが、ここに死海文書のスキルを当ててみると…

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敵が寄り集められているのが分かるだろうか。これにより範囲攻撃を当てやすくなった。この他にも敵を自分の前に引き寄せるスキルがあったり、戦闘フィールド上を移動させて陣形を組ませたりすることができる。戦略的にバトルを楽しませようという狙いだろう。

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それからキャラクターの3Dモデルにも注目したい。『陰陽師』の時から3Dモデルのクオリティはかなり高いと感じていたがそこに年々磨きがかかっているように感じる。本作の3Dモデルも良質でキャラクターの魅力を引き出すのに一役買っている。

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こちらは『黑潮之上』とは違って日本展開に関する具体的なアナウンスやアクションはなされていないが、今年中にやってくる可能性も当然ある。現地では育成素材が手に入りにくいなど不満の声も挙がっているようだがそのあたりも改善された状態でのリリースを期待したい。