喜の向くままスマホゲームブログ

当ブログは東アジアのスマホゲームについて「喜の向くまま」に書いていくものです。中国関連の話題が多めになると思います。

『泡沫冬景(Christmas Tina)』紹介 ~日中のタッグで贈るノスタルジックな青春群像劇AVG~

先日泡沫冬景(Christmas Tina)というビジュアルノベルAVGのテスト版をプレイした。私が普段プレイするゲームジャンルではないのだが、「1988年のバブル期の東京で出会った中国人の少年と日本人の少女の物語」という本当にあってもおかしくないような舞台設定が妙に気になってしまい、「なんか面白そう!」と直感的に思ったのだ。

テスト版なのでプレイできたのはわずか2章、2人が出会うところまでだった。だがストーリーを読み終えた時、私の心は「早く続きを最後まで読みたい!」という気持ちでいっぱいだった。それぐらい惹きこまれる内容だったからだ。

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絶対にいい作品になる、なってほしいという期待、願望を込めて『泡沫冬景(Christmas Tina)』について紹介したいのだが、ジャンルを考慮するとストーリーについての過度なネタバレは当然したくないので基本的な情報を整理することにしよう。

 

本作は日本と中国のスタッフが協力して制作しているタイトルだ。日本側のスタッフで言うと、例えば私が惹きこまれたストーリー、その原案・シナリオを担当しているのはかつて『narcissu』などの作品を手がけた片岡とも氏だ。

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上京後、公衆電話でバイトの面接予定を取り付けたヒロイン。都会に出てきたばかりだからか、このあとちょっと意外な行動に…

そして本作の特徴になると思っているのがCVの演出だ。日本人のキャラは日本の声優が、中国人のキャラは中国の声優が担当しているようだが、おそらく日本語ローカライズされても中国語のボイスは残して字幕対応にするのではないかと考えている。なぜなら、そうしないとストーリーへの没入感を阻害してしまうからだ。

少年と少女が出会った時、2人は互いの言葉を理解できずに困惑する描写がある。もしそのシーンで全てが日本語化されていたらどうか。考えるまでもなくストーリーが台無しになってしまう。実際私も意思疎通がうまくできないもどかしさを目の当たりにすることによりストーリーにのめり込んでいけたので、ここはあえてそのままで作りきってほしい。

 

テストプレイが開始されて以来、『泡沫冬景(Christmas Tina)』は多くのプレイヤーから高評価を受けている。たくさんのレビューも寄せられているが、その中で私が「なるほど、確かに」と思ったのが視点に関する指摘である。

本作では少年側から語られる部分と少女側から語られる部分があり、視点が行ったり来たりすることが珍しくない。おそらくそのレビューを書いたプレイヤーは視点が少年側で固定されることを想定していたのだろう、それが切り替わることでうまくストーリーに入っていけないことを気にしていたのだ。最初から自然と3人称視点で読んでいた私には違和感はなかったのだが、1人称視点で読んでいたら違和感を覚えたのにも頷ける。この部分も本作の特徴になるのかもしれない。

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本作はスマホアプリだけでなく、steamでの提供も予定されているようだ。正確なリリース日についてはまだアナウンスされていないが、分かり次第こちらでもお伝えするつもりだ。制作陣の公式Twitterも開設されているので気になった人はフォローしておくといいかもしれない。

ひょんなことから偶然出会い、最初は互いの言葉もわからなかった2人の関係にこれからどんな変化が生まれていくのか、非常に楽しみだ。PCでノベルAVGを遊んでいたような人、どことない懐かしさや青春のひとときに触れたい人にはぜひプレイしてみてほしい。およそ30年前の東京で、存在したかもしれない日常の一片にシナリオや音楽を通じて触れることができるだろう。