喜の向くままスマホゲームブログ

当ブログは東アジアのスマホゲームについて「喜の向くまま」に書いていくものです。中国関連の話題が多めになると思います。

『Epic Seven』レビュー ~美しきアニメーションと極限まで削られた驚異のローディング時間に刮目せよ~

9月14~15日、東京ゲームショウ(TGS)2019の一般デーが開催されているその裏で、Yostarは「アズールレーン 2nd Anniversary Fes.」を開催していた。そのイベント内に間借りするような形で、同社が運営を控えている新作Epic Sevenスペシャルステージが催された。
実は『Epic Seven』は私にとってとても思い入れのあるタイトルだ。といってもそれは私の実らなかった片思いなのだが…今回は少しだけ、その昔話をさせてほしい。

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私が『Epic Seven』の存在を知ったのは、今からもう3年近く前の2016年12月にさかのぼる。ある日、4gamerに1つの記事が掲載された。ふとそれを見て、そこで紹介されていたゲームが韓国のゲームであることとアニメーションをウリにしているということは分かった。しかしそれ以外のことはよくわからなかったので記事内にあったティザーPVをまずは見てみることにした。
当時、韓国のゲームと言えば既に『セブンナイツ』がヒットしていたので、「どうせセブンナイツの二番煎じみたいなもんじゃねーの」とあまり期待もせずにPVを見始めた。
 
だが私は目を奪われてしまった。もう完全に一目惚れだった。アニメーションがふんだんに取り入れられていて、美しいスキルカットイン演出もあることが見てとれた。当然実際にプレイしたわけでもないのに「これは絶対面白い!」と即座に思ったのだ。
当時はまだ『プリンセスコネクト!Re:Dive』(以下:『プリコネ』)もなかった時代だ。ビジネス的な面で見ても、間違いなく成功するという確信があった。非常に強い衝撃を受けた私は、その衝動のままに即座に上司にこう進言した。
「これ絶対ヒットしますよ!うちでライセンスインやりたいんで動けませんか!?」と。
 
これ以上はあまりにも込み入った内容になるので差し控えるが、あの日以来『Epic Seven』を追いかけ続けたからこそ、夢が叶わなかったとわかった時は本当に悔しかった。
でも、これからはプレイヤーの1人としてまた応援したいと思っている。だからあの日々に区切りをつけるために、私の心にある情念を断ち切るために、『Epic Seven』について紹介させてほしい。
 
 本作について端的に形容するならば、アニメーションに代表される2D表現にこだわりぬいた王道RPGである。系統としては、あくまで個人的な感想だがFate/Grand Order』(以下:『FGO』)や『プリコネ』が近いと考えている。開発会社のSUPERCREATIVEによる自社開発エンジン「YUNAエンジン」で描かれる滑らかなアニメーションの数々は何度見ても飽きないほど美しい。

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そんな『Epic Seven』には2つの大きな特徴がある。1つはもう既に挙げてしまっているが、誰が見てもはっきりとわかるほど派手な要素であり、もう1つは言われてみれば確かに…と思うような地味な要素である。
 
まずは派手なほうの要素、そう、アニメーションは本作における最大のウリである。
戦闘では、敵も味方もあらゆる部分がアニメーションで表現される。中でも初期ランクが☆4以上のキャラは、保有する3つのスキルのうちの1つに美しいカットイン演出が入る。
私の1番のお気に入りであるスキルアニメーションをさっそくご覧いただこう。

これがもうたまらない。個人的にはずっと見ていたいと思うレベルの出来である。しかもなんとありがたいことに!図鑑機能から未所持のキャラクターも含めてアニメーションの演出をいつでも見ることができるのだ。もうこれをおかずにご飯を何杯でもおかわりできるくらい、私は満足している。
一方、初期ランクが☆3以下のキャラには原則としてスキルのカットイン演出はない(一部例外はある)。これはちょっと残念なのだが…しかし!☆3キャラにはクラスチェンジのようなシステムがあり、これに対応するキャラが現在進行形で増えている。中には「誰だお前!?」となるほど見た目も一変するキャラもいるが、これにより使用できるスキルが変更され、しかも1つはちゃんとカットイン演出がつくのだ。

ただストーリー進行に関しては、部分的にアニメーションが挿入されることはあるものの、全編通じてアニメーションでお届け!というわけではない。そのため『プリコネ』と比べるとストーリー演出はやや見劣りするかもしれないが、そこは『プリコネ』がすごすぎるので仕方ないだろう。

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そして地味なほうの要素だが、まずはこちらをご覧いただきたい。
…お分かりいただけただろうか。
ホーム画面から冒険へ遷移する際や戦闘時など、いずれも「Now Loading」のような間を挟むことなくプレイが継続できる。これが「0秒ローディング」である。
バトルの周回も必要になる本作で、ただ待つだけの退屈な時間を排除しているというのは長くプレイすればするほどありがたみを実感できる。ものすごく目立たない要素だが、確実に快適なゲームプレイをサポートしてくれるのでいい意味でボディーブローのようにジワジワと効いてくるだろう。
 
美しいアニメーションに酔いしれ、周回時のローディング時間も気にならないとなるとバトルへのモチベーションも上がるというものだ。本作のバトルは基本的にコマンドバトルによるWAVE形式で構成されている。最大4体のキャラ+ガーディアン1体(+フレンドのお供キャラ)で部隊を編成し、全WAVEで敵を撃破するとステージクリアとなる、今となってはもはやおなじみの形式だ。
少し特徴的なのは、WAVEの道中でランダムに補給ポイントや宝箱が出現することだ。HPを回復できたり、宝箱からは課金通貨が出ることもあるので見つけたら忘れずに回収しよう。一般的に苦痛な作業になりがちなバトル周回がちょっぴり楽しくなる嬉しいシステムだ。

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バトル画面左側には敵味方含めたキャラが行動できる順番が表示されていて、下に到達したキャラから順にコマンドを実行できる。行動順はキャラの速度に依存するので、速度バフ/デバフなどを駆使した戦術運用も可能だ。ただ個人的にはキャラの表示が重なっていて分かりにくいと感じることもあり、まだ改善の余地があるように思われる。

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行動順を迎えたキャラはスキルを使って攻撃やサポートを実行する。各コマンドを実行すると「ソウル」が獲得でき、定量溜めるとスキル使用時に効果を上昇させたり、強力なガーディアンを召喚するのに使うことができる。
 
それだけではない。戦闘の中にはステージを一直線に進むのではなく、マップを縦横に移動して探索しながら進む形式のものもある。移動や探索というのはRPGのちゃんと冒険している感を生み出す要素の1つだと思っているので、こういったただ同じ形式の戦闘を繰り返すだけではないことも私のお気に入りポイントだ。
ただ、探索を続けているとキャラの士気が次第に下がっていき能力も低下してしまう。そういう時は1度でマップ踏破しようとせず引き上げることも大切だ。

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なお、探索中に1度だけ士気を回復させる手段がある。それがキャンプだ。提示された2つの話題から1つを選び、パーティに編成したキャラと会話するのだが、その話題が他のキャラと親和性の高い内容だと士気が上がり、逆に盛り上がれないと士気が下がってしまう。キャラの意外な一面が垣間見れたりするし、どこか往年のJRPGっぽい雰囲気を感じさせてくれる。

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またオート機能もあるので手軽にプレイすることも可能なのだが、私はこのオート機能に少し不満を持っている。なぜなら先述した道中の補給ポイントや宝箱をスルーしてしまうらだ。オート機能というのはプレイヤーが手を離しても、もっと言うと目を離しても期待した結果をもたらすことに意味があると私は考えているので、いつ出るかもわからない宝箱を見逃さないようチェックしなければならないならオートの存在意義は薄れてしまわないだろうか。この部分も日本版では改良されていることを期待したい。
 
そして美しいアニメーションがあるからこそ、キャラがより一層引き立つ。日本版がリリースされたらプレイヤーには魅力的なキャラをたくさん愛でてほしいと思うのだが、『Epic Seven』のキャラ育成要素は底なし沼のような深みを持っている。突き詰めようと思うなら相応の覚悟が必要になるだろう。
全てのキャラは最高レアリティの☆6まで成長する仕様なのでレアリティ格差はないと言ってもよいだろう。そして同一キャラを重複させた覚醒、素材を使用した覚醒、スキル強化といったところはスマホRPGではおなじみだ。これらも段階を重ねていくとだいぶキツくなるのだが、極端な話覚醒や強化のための素材さえ調達できればいいので終わりが見える分まだマシに感じられる。
ではいったいどの部分が「沼」なのかというと、キャラの「装備」がとんでもない沼だったのだ。

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6か所に装着する各装備には『サマナーズウォー』における「ルーン」のようなものが設定されていて、同種の装備を複数装着するとセット効果として能力が上昇する仕組みだ。まずこのセット効果の種類が多いうえに、それとは別に能力値を向上させるメインオプションとサブオプションもあり、その組み合わせたるやまさに無限大と言えるほどだ。

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この装備の場合、メインオプションがAttackでサブオプションが3つ付いている。そしてAttack Setの装備を4つ装着すれば攻撃力が加算される
その膨大な可能性の中から、厳選に厳選を重ねた究極の一点物を見出すためのいわゆる「掘り」がプレイヤーを待ち受けることになる。これが私の感じた「沼」の正体だ。お目当てのものを探し出すために一心不乱に戦い続けるのは確かに苦しいが、それが突然ポロッと転がり込んで来たらもう脳汁ドバドバなことは間違いない。この装備掘りで私はかつて『モンスターハンター』シリーズでモンスターそっちのけでピッケル片手に炭鉱夫として過ごしていた時期を思い出した。あの感覚が1番近い気がするのだ。
 
ただ1つ、キャラに関して個人的に残念だなと思う点を挙げるとすれば、いわゆる個別のキャラストーリーに当たるものが見当たらないことだろうか。一部はガチャでピックアップされたり新キャラとして登場した時に紹介のような形で簡素なものが用意されていたりもしたが、期待しているものが大きい分、落胆せざるを得なかった。本作においてはキャラに愛着を持ってもらうことは非常に重要になるだろうから、そのための要素の1つとして今後の実装を期待したい。
 
 
そして、気になる人も多いであろうマネタイズについてだが、メインになるのはやはりガチャだろう。キャラとアーティファクトが混ざって排出されるいわゆる「闇鍋形式」が採用されている。アーティファクトというのは装備同様キャラに装着するもので、まぁ…「『FGO』における概念礼装」のことである。f:id:kinomukumama0526:20190429025539j:plain
そのほかにもいろんなアイテムがセットになったパックが毎月数多く販売されているが、1ヶ月で買える分を全て買おうとすると日本円にして総額なんと40万円以上になる。お財布との相談が必要になるかもしれない…。

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また「サンクチュアリ」という機能がある。ここでは一定時間ごとに課金通貨とゲーム内通貨を生成できるほか素材から装備を制作したりスキル強化アイテムや経験値素材などを生産することができる。

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『Epic Seven』はキャラとストーリーの魅力を高品質なアニメーションをもってプレイヤーに提供する正統派のスマホRPGだ。もちろんまだ粗削りだと感じた部分はあるのだが、あの『アズールレーン』を成功に導いたYostarが目利きをして射止めたタイトルなのだから、そりゃあ期待せずにはいられない。

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遂に日本版配信日が11月7日と発表された。私が3年前に受けた衝撃を早く日本のスマホゲーマーにも味わってもらいたいものだ。
 
※この記事内容は韓国版『Epic Seven』を元に作成しているため、今後リリースされる日本版とは内容が異なる可能性があります。予めご了承ください。